2025年10月17日
コラム
甲状腺ホルモンが、甲状腺で産生され全身の細胞に働きかけるまで
必須元素であるヨードを、私たちは自分で合成できず食物として摂取します。
体に吸収されたヨードのほとんどが甲状腺に集まり、甲状腺ホルモンの材料となります。
毛細血管から濾胞細胞に取り込まれたヨードは、甲状腺ペルオキシダーゼという酵素の力を借りてサイログロブリン(甲状腺ホルモンの前駆物質)という分子と結合します。
サイログロブリンは大きな分子でいくつものヨードと結合し、ヨードを3または4個持つ甲状腺ホルモンができあがります。
甲状腺ホルモンであるT3、T4の3,4という数字は、ヨードの個数を表しています。
完成した甲状腺ホルモンはサイログロブリンから切り離され、血流に乗って全身の細胞に行き渡ります。
血液中の甲状腺ホルモンは特定のタンパク質と結合している「タンパク質結合甲状腺ホルモン」で、ホルモン作用はありません。
作用を発揮するのはタンパク質と結合していない「遊離甲状腺ホルモン」で、全体の1%以下です。
総甲状腺ホルモン=タンパク質結合甲状腺ホルモン+遊離甲状腺ホルモン
血液検査で測定するホルモンが遊離甲状腺ホルモン(遊離T3:FT3,遊離T4:FT4)であるのは、実際に体に作用しているからです。
ただし、甲状腺ホルモン結合タンパク質に異常がある場合は、総甲状腺ホルモンを測定することがあります。